熱中症

日ごとに暑さが厳しくなり、熱中症のリスクが高まっています。熱中症は適切な知識があれば防げる病気ですが、重症化すると命に関わることもあります。

今回は、お子さまから高齢の方まで、ご家族全員で取り組める熱中症対策について解説します。

1.なぜ熱中症になるのか?(熱中症のメカニズム)

人間には体温を36〜37℃に保つ調節機能が備わっていますが、高温多湿な環境ではこれらの機能が十分に働かなくなり、体内に熱がこもってしまうことで熱中症になてしまいます。

特に「室内」での発症が最も多く(全体の約40%)、エアコンを使用していない閉め切った部屋や、夜間の就寝中にも注意が必要です。

2.特に注意が必要な「子ども」と「高齢者」

子ども(乳幼児)

体重に占める水分の割合が新生児で80%、乳幼児で70%と高く、大人(約60%)よりも脱水しやすい状態にあります。また、身長が低いため地面からの照り返しの影響を強く受け、体温調節も未熟です。

高齢者

若い人に比べて熱を逃がす能力が低く、「暑さ」や「のどの渇き」を感じにくくなっているため、気づかないうちに症状が進む危険があります。

3.熱中症の重症度分類

2024年に日本救急医学会より熱中症の分類に変更がありました。

重症度 主な症状・所見 対応の目安
Ⅰ度 めまい、立ちくらみ、筋肉痛、意識障害はない クーリング、水分・塩分の経口摂取
Ⅱ度 頭痛、嘔吐、倦怠感、判断力の低下 病院受診を。経口摂取が困難であれば点滴を行う。
Ⅲ度 意識障害、痙攣、血液検査で異常を認める。Ⅳ度の基準は満たさない。 入院
Ⅳ度 深部体温40℃異常、かつ意識障害(GCS≦8) 入院、集学的治療

※GCS:意識状態を点数化した指標

意識がはっきりしているかどうかが、重症度を判定する重要なポイントです。

I度

めまい、立ちくらみ、足がつる(こむら返り)、大量の発汗。

II度

強い頭痛、吐き気、体がだるい。意識がなんとなくおかしい場合はすぐに病院へ搬送してください。

III度

意識がない、呼びかけに反応しない、体温が40℃以上、皮膚が赤く乾いている(汗をかいていない)。この場合は直ちに救急車を要請してください。

4.いざという時の応急処置

救急車を待つ間にも、現場ですぐに体を冷やし始めることが救命につながります。

太い血管を冷やす

首の両脇、脇の下、足の付け根(股関節)を氷嚢などで冷やします。

注意!

発熱時に使う市販のジェルタイプの冷却シートは、熱中症で体温を下げる効果はありません。必ず氷や冷えたペットボトルを使用してください。

水分補給

意識がはっきりしていれば、経口補水液やスポーツ飲料を飲ませます。ただし、アルコールやカフェイン(コーヒー、緑茶など)は利尿作用があり、水分を排出してしまうため避けましょう。

5.今日からできる予防習慣

のどが渇く前に飲む

こまめな水分補給を心がけてください。

環境を整える

遮光カーテンやすだれを活用し、外出時は日傘や帽子を着用して直射日光を避けます。

6.さいごに

熱中症は、その日の体調(睡眠不足や二日酔い、風邪など)にも大きく左右されます。無理をせず、少しでも「おかしいな」と感じたら、すぐに涼しい場所へ移動し、早めに医療機関へご相談ください。