花粉症

1.花粉症とは

花粉症は、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称であり、アレルギー性鼻炎(鼻水、鼻詰まり)とアレルギー性結膜炎(眼のかゆみ、充血)が多くみられる症状です。症状が強くなると、花粉症に成分が鼻から喉へ流れ、喉の痒み、くしゃみ、咳を生じます。また、鼻詰まりによる、頭痛などを伴う場合もあります。
花粉症の有病率は年々増加しており、特にスギ花粉症(2〜4月)の有病率は50%を超えるといわれ、国民病といわれています。
また、小児における有病率の上昇も指摘されており、2019年のスギ花粉症の有病率は0〜4歳で3.8%(1998年は1.8%)、5〜9歳で30.1%(同7.2%)、10〜19歳で49.5%(同19.7%)となっています。

2.原因

人間には本来、細菌やウイルスなどの異物を認識し、除去する機能が備わっています。これを「免疫」と呼びますが、この免疫がアレルゲン(アレルギーの原因となるもの)に過剰に反応し、「アレルギー反応」が起こります。花粉症はスギなどのアレルゲンにアレルギー反応を起こして、鼻水や目のかゆみを起こしている状態です。

3.症状

アレルギー性鼻炎

最も多い症状で、花粉などに鼻粘膜が暴露されると、ヒスタミンロイコトリエン、プロスタグランジンといったアレルギー物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻閉といった症状が生じます。これらの症状を抑えるのが抗ヒスタミン薬(アレグラ®︎、ザイザル®︎、アレロック®︎、デザレックス®︎、ビラノア®︎等)やロイコトリエン受容体拮抗薬(プランルカスト、モンテルカスト)です。

アレルギー性結膜炎

目の症状も基本的には同じ機序で症状が生じます。花粉が眼球結膜に到達すると、ヒスタミンが放出され、充血、結膜浮腫、強いかゆみが生じます。結膜は血管が豊富で、涙液からのアレルゲン供給が続きやすいため、短期間の屋外暴露でも症状が長く続く場合があります。

花粉性皮膚炎

花粉が肌に付着することにより、免疫細胞がそれを「異物」と認識し、アレルギー反応が起こります。それにより、肌の炎症が生じた状態を花粉性皮膚炎と呼びます。また、もともと乾燥肌だったり、アトピーのある方は肌のバリア機能が低下しているため症状が出やすいため、さらに注意が必要です。

気管支喘息(花粉症誘発・増悪)

「咳が長引く花粉症」では気管支喘息と同様の病態を呈していることを想定します。花粉症患者では気道が敏感になっていて、花粉が気道の奥まで到達していると、咳嗽や喘鳴(ぜいぜい)、呼吸困難などを生じることがあります。そもそも花粉症と喘息、アレルギー全般は密接な関わりがあり、もともと気管支喘息の人は花粉症の時期は喘息症状の増悪に注意が必要です。

4.発症時期

関東では春から夏にかけてスギ花粉、ハンノキ花粉、ヒノキ花粉などが多くなり、特にスギ花粉が2〜4月に多く飛散します。

花粉は昼前後と夕方に多く飛散し、以下のような天気になると特に多くなります。
1.晴れて、気温が高い日
2.空気が乾燥して、風邪が強い日
3.雨上がりの翌日

花粉飛散情報は以下を参照ください。

https://tenki.jp/pollen/

5.日常生活への影響

・鼻水や目の症状に加え、重症化すると喘息発作などを引き起こす可能性があります。また、鼻詰まりなどで睡眠障害につながることも見逃せません。

・花粉症の症状による、慢性的な不快感やイライラを引き起こすことがあります。

・社会人にとっての仕事への影響はもちろん、学生にとっても、花粉症の影響は指摘されており、イギリスの報告では花粉症によって成績に影響を与えたという報告もあります。※)

※)Walker S,et al:Seasonal allergic rhinitis is associated with a detrimental effect on examination performance in United Kingdom teenagers:case-control study.J Allergy Clin Immunol,120:381-387,2007.

6.検査

まずは問診で症状の経過を伺います。
鼻汁の検査を行い、アレルギー性かどうか評価します。
血液検査が可能な年齢であればアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす原因物質)特異的IgE抗体を測定して、アレルギーの有無と強さを推測します。

7.治療

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は主に第一世代と第二世代に分けられます。

第一世代抗ヒスタミン薬

即効性があり、急なアレルギー症状に適しています。しかし、効果の持続が短く、眠気や口渇などの副作用が強いため注意が必要です。

第二世代抗ヒスタミン薬

第一世代の欠点を改良した、現在多く使用されている薬剤です。効果が長続きする特徴がありますが、効き目が十分に発揮されるまでしばらく時間がかかることもあるため、花粉症の時期の少し前から内服を開始することが望ましいでしょう。

各世代の代表薬剤

ロイコトリエン受容体拮抗薬

ロイコトリエンは鼻粘膜の炎症の原因となり、これにより鼻詰まり、くしゃみ、鼻水を引き起こします。ロイコトリエン受容体拮抗薬はこれらの症状を抑える目的で使用します。(また、この治療は喘息でも使用します。)

代表薬剤:プランルカスト(オノン®︎)、モンテルカスト(キプレス®︎、シングレア®︎)

点鼻薬

鼻症状には点鼻薬も有用です。ステロイド点鼻薬(アラミスト®︎、ナゾネックス®︎など)は鼻粘膜の炎症を抑えることにより、鼻水、鼻詰まり、くしゃみに効果があります。また、局所の使用に留まるので全身性の副作用の心配が少ないメリットもあります。

点眼薬

花粉症の目のかゆみには、内服薬と同様に抗ヒスタミン薬の点眼薬が推奨されます。よく使用されるのはパタノール点眼薬(オロパタジン)、アレジオン点眼薬(エピナスチン)などです。

免疫療法

上記の治療はいずれも「とりあえず現在の症状を緩和する対症療法に過ぎない」ということがあげられます。
それに対し、アレルゲン免疫療法はアレルギーの原因となるスギ花粉を少量ずつ体に取り込んで、体に慣れさせて、アレルギー反応を起こさないようにする治療法です。現在は舌の下に置く、痛みを伴わない舌下免疫治療が行えます。
国内ではスギ花粉症とダニに対する舌下免疫療法が施行可能です。
ただし、スギ飛散期にはスギの舌下免疫療法は行えないので、行えるのは6月以降になります。

8.予防

日常生活での注意と環境整備で花粉症の症状をある程度予防することが知られています。

花粉を避ける

・顔にフィットするマスク、メガネの着用。
・花粉飛散の多い時間帯(昼前後、夕方)の外出を避ける。

花粉を室内に持ち込まない

・ウール素材の衣服の着用を避ける。
・手洗い、うがい、洗顔、洗髪で花粉を落とす。
・換気の工夫(窓を開ける幅を狭くし、レースのカーテンをすることで屋内への花粉の流入を減らすことができます。床の掃除を励行し、カーテンの定期的な交換も効果的です。)
・洗濯物や布団の外干しを控えましょう。